気候変動 電力セクターの脆弱性が浮き彫りに
「緩和策」と「適応策」は気候変動対策の両輪であり、どちらが欠けても気候変動の脅威を防ぐことはできない。「緩和策」とは温室効果ガス、特に地球温暖化に最も大きな影響を及ぼす二酸化炭素(以下、「CO2」)の排出量削減を指す。一方、「適応策」とは気候変動によって起きる災害被害の予測、並びに被害の未然防止または低減のための適切な対策の実施、あるいはこれらの対策を通じてどのような変化にも柔軟に対応できる能力、すなわちレジリエンス(回復力または強靭さ)を高めることを指す。
社会インフラのなかでも電力はとりわけ、異常気象による自然災害に脆弱と言わざるを得ない。例えば電力システムの主な事故原因をみると、水力設備では水害、火力設備では地震、変電所は水害と地震、送電線は雷、配電線は風雨と雷が圧倒的に多い。これまで電気事業者は災害に強い設備作りに腐心し、被災時の影響軽減や迅速な復旧に取り組み、電力の供給信頼度において世界でもきわめて高いレベルを実現してきた。しかし、地球温暖化が進むなか、「前代未聞」「観測史上初」といわれる異常な高温、熱波、干ばつ、豪雨、強度を増す台風の頻度が増えており、エネルギーシステムを取りまく自然環境が一変する可能性がある。そうなれば、電力供給が不安定になるリスクが高まる。電力インフラを守りぬくには、電気事業者は緩和策の実行と並行して電力特有の適応策にも取り組むことが求められる。
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