成長の意味
上場企業、特に新興銘柄企業の経営陣は、みずからの企業の成長イメージを市場に向けて示す必要があるのではないだろうか。中期経営計画を見ていて、成長一辺倒の未来像を描いている企業が多いことに気づく。根拠はというと意外にも乏しく、脆い。
「成長」という言葉には魔力のような響きがある。上場企業のなかには株価をつりあげようと欲を出すあまり、成長を偽って不正会計に手を染め破滅の一途をたどる事例は洋の東西を問わず事欠かない。
企業にも成長の周期がある。大別すると萌芽期、成長期、成熟期、衰退期(または低迷期)だろうか。100年後も企業が存続するという前提のもと、自分たちが今どの周期にいるか立ち位置を客観的に判断することが肝心だ。成長期の真っただ中にいると思えば、成長を長く持続するための課題や方策が見えてこよう。例えば、人材を育成しながら厳しい経済情勢にあってもなだらかな成長を続けるという選択肢もその一つだ。
投資家、なかでも海外の機関投資家のなかには成長の周期をめぐり投資対象である企業に対し冷徹な判断をくだす者もいる。潮目の変化を見逃すまいと、最大の関心事は企業が移行期に差しかかっているかを見極めることにある。
企業規模を問わず、金融市場から深い信頼を得ることは容易ではない。課題の克服、実績そして実行力が企業側に伴っていなければならないからだ。経営者は粘り強くマーケットと対話を重ね、投資家からの揺るぎない信頼を勝ち得るような企業へと成長していってほしい。成長というと成長率にばかり目が行きがちだが、問われるのは中味だ。紋切り型ではない、独自の成長ストーリーが企業の数ほどあってもいいはずだ。