岐路に立つ原発

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岐路に立つ原発

原子力発電は、人々の過剰な期待に応える一方、懸念される安全性の確保を迫られるというジレンマを抱えた、他に例を見ない電源といえる。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、欧州各国や日本において、原発への傾斜に拍車がかかっている。資源のロシア依存から脱却する方針を固めた英国およびフランス政府は、長期的なエネルギーの安定確保に向けて原発の新増設を打ち出した。諸外国の動向を踏まえ、日本政府も原発の新増設や建て替えについて検討を進めると表明した。エネルギー危機や気候変動への対策を迫られるなか、政策立案者による原発への過度な期待が高まる。

原子力発電は目に見える物理的装置であると同時に、目には見えない複雑なシステムでもある。目に見えないシステム、その働きを理解することは難しい。そして、そのシステムを作り出すことはさらに難しい。そこが、原発の開発や稼働が一筋縄ではいかない理由の一つとなっていると考えられる。つまり、要素は見えても要素を結びつけるシステム原理は目に見えないため、一部の機能を追加または変更することでシステム全体の整合性を崩す可能性があるのだ。それゆえ、原発には安全上のリスクを低減する不断の目配りが欠かせない。

一般論として、「原発は一度稼働すれば安定して発電する電源だ」と見る向きがある。本稿では、それが果たして正しい見方かどうか、その答えを探っていきたい。さらに、原子力規制委員会の独立性を担保することの意義、またウクライナ侵攻を契機に浮き彫りになった原発の地政学的リスクについても考察を加えたい。

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